~悠の徒然ブログ~

日々生活していて思ったこと、読書記録、勉強のことなどについて適当に語っていきます。コメントいただけると喜びます。

米澤穂信 「いまさら翼といわれても」

 古典部シリーズ最新作「いまさら翼といわれても」

私の大好きな古典部シリーズの最新作。このシリーズの既刊はす

べて読んでいるが今作が一番好きかもしれない。

 

京都アニメーション京アニ)の作品、「氷菓」としてアニメ化もさ

れた。(余談だが私はアニメも拝見したがやはり原作のほうが好き

だ)

 

あらすじ(KADOKAWA様から引用)

「大人」になるため、挑まなければいけない謎。待望の〈古典部〉最新作!

累計205万部突破の〈古典部〉シリーズ最新作!
誰もが「大人」になるため、挑まなければいけない謎がある――『満願』『王とサーカス』の著者による、不動のベスト青春ミステリ!

神山市が主催する合唱祭の本番前、ソロパートを任されている千反田えるが行方不明になってしまった。
夏休み前のえるの様子、伊原摩耶花福部里志の調査と証言、課題曲、ある人物がついた嘘――折木奉太郎が導き出し、ひとりで向かったえるの居場所は。そして、彼女の真意とは?(表題作)

時間は進む、わかっているはずなのに。
奉太郎、える、里志、摩耶花――〈古典部〉4人の過去と未来が明らかになる、瑞々しくもビターな全6篇。

 

 

今作は6章でそれぞれ別の話。なので好きなところから読んで

も問題ないかと。ちなみに6章の構成は

  1. 箱の中の欠落
  2. 鏡には映らない
  3. 連邦は晴れているか
  4. 私たちの伝説の一冊
  5. 長い休日
  6. いまさら翼と言われても

となっている

 

 この中で特に気に入った話である長い休日について少し話す。

 

古典部シリーズ」の主人公である折木奉太郎

「やらなくてもいいことならやらない、やらなければいけないことな

ら手短に。」をモットーとしている。かなり消極的だろう。

だがこれをモットーとしたのにはきっかけがあったという。

それが"長い休日"には書かれている。

 

ここからは少しネタバレになる。

見たくない方はブラウザバック推奨。

 

主人公(以下折木)は小学六年のときに花壇の水やり係を担当してい

た。一人でやっていたわけではなく女子(以下田中)

と二人組みでだ。

最初は1日交代で水やりをしていたが、ある日状況が変わる。

田中の家が建て変わるということで、しばらく遠いところに住む

というのだ。駅から市バスで一時間もかかると。帰りに時間がかか

るので放課後を早く帰りたいと。

 

なかなか個人的な話だろう。だが担任からの押しもあり折木は

一人で花の世話をすることを承諾する。折木は担任から信頼されて

いたのだろうか、何かにつけて折木に用事を言いつけた。

折木は当時これらを教育の一環と思っていたらしい。

(小6の思考とは思えない(笑))

 

さぁ、ここからだ。

田中のランドセルがなくなるという事件が発生する。

折木と田中と担任の三人で探し、ランドセル自体はあっさりと見つか

る。田中が多目的スペースに置き忘れたランドセルを誰かが忘れ

物として職員室に届けただけの話だった。

担任は田中に中身を確認するように促す。

田中はシャーペンがあるのを見つけて大きく安堵する。

余程大事なものだったのだろう。

 

しかし折木は気づくのだ。

家が建て変わるまで遠いところにすむ。市バスで一時間もかかる。。

それならまず一番無くして不味いのは金か定期かそういうものだと。

それらがないと帰れなくなってしまうのだから。

そもそも多目的スペースにランドセルを忘れたということはバスの

時間まで田中はどこかで遊んでいたのだろうということは折木も予想

はしていたらしい。

 

しかし現実は違った。田中はバスなど既に利用していなかった

家の建て替えは終わっていたのだ。係を折木に押し付けてさぼ

っていたということになる。

 

それだけではない。担任は田中の事情を把握していたはずだ。

それでも田中を叱ったりはしなかった。担任は折木が訝しく

思っていることに気づき「しまった!」と慌て顔をしたという。

それで折木は担任も田中の事情には気づいていたことを察するのだ。

 

それから過去の出来事が次々と思い出される。

あらゆる雑用を頼まれていたのは信頼されていたのではなく

なんでも言うことを聞く便利屋として扱われていたのだと。

 

そして折木は家に帰り姉にそのことを話す。

馬鹿だと思われて付け込まれるのはもう嫌だと。自分がやらなくて良

いことなら絶対にやらない、と。

姉はその考えを受け止め、折木に言った。

「あんたはこれから、長い休日に入るのね。」

 

 

どうだっただろう。かなり省いたが、、

なかなか小学生にとっては辛い経験となるのではないだろうか。

自らの善意が利用されていたということでは苦い思いになるのは想像

に難くない。そういった経験のある方は現実には多いのではないだろ

うか。

それがきっかけでその後の人生に対する見方が変わったりなんかも。

 

基本的に米澤さんの著作はハッピーエンドとは言い難い、なんと

も後味の悪いものが多い印象がある。私はそこが好きなのだが。

この他の話も読了後はそういった感想が強く残った。

 

米澤さんのファンでなくとも是非一読して頂きたい本だ。

以上、「いまさら翼といわれても」感想。

いまさら翼といわれても

いまさら翼といわれても

 


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